ファンのバイブルである

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読み終えた。
今日は(もう昨日だが)、暇な仕事だったので時間つぶしにと持って行った。で、実際には仕事中にはそんなに読めなかったんだけど、あまりに面白いもんだから帰宅の電車、自宅に着いてからも休憩を挟みつつ・・・こんな時間になってしまった。

4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史 / 村瀬 秀信

買ったのは大分前・・・7月くらいだったかな?どっかのスレで見かけて興味を持って購入。けれど、なかなか読む時間が取れなくて放置していた。

で、冒頭に戻る。
トータル300ページ及ぶ、筋金入りの「ホエールズ・ベイスターズファン」であるライター、村瀬氏の著書を読み終えた。
この人の記事は、度々「Number」ウェブ版のベイ関連のコラムでお世話になっている。もう大分前から「ああ、この人はどんだけベイが好きなんだ」と思わせる書きっぷりで、実に共感を得ていたわけだけど、
#とあるもつ鍋屋シリーズや、古者シリーズなど。
今回、この本を読んで最初の数十ページほどで思ったのは・・・どうやら自分と一つしか歳が違わないらしい筆者だけど、「ベイスターズファンである」という以外は、生まれも育ちも境遇も現状もまるで違いながら、この本の内容の90%以上に「嗚呼、俺と同じ認識、感覚を共有している人が居たんだ」という妙な嬉しさだった(苦笑
#どうしてこうも同じことを考えているのか。
なんというか・・・もうね、どんだけ弱くてもどんだけみっともなくても、それでも好きなんだから、応援してるんだからしょうがない。そんな感情が訥々と伝わってくる。
そしてそんな筋金入りの人が、その立場をフル活用して、長きにわたる「大洋~横浜」という球団の成り立ちからその性質、問題点等々を現場の人間、フロント、関係者に細々と取材して出来上がった本がこの本、というわけだ。
#実に面白かった。いや、これを「面白い」と表現してしまうのは違うかもしれないが。
概ね、自分の思っていた事と合致する・・・いや、自分はこうした世界に直接関わりを持っているわけではないし、池田社長じゃないが「これほど注目度の高い業界なのに、その内部事情は恐ろしく閉鎖的」なのだから、素人には知りえない事情が多々あって当然か。そんなイチファンですら、ほんの僅かな情報から「こんな事じゃねーの?」と何年も見ていくうちに気付いていた事、それがこのチームの癌になっていた事と納得できるくらいに詳細化された本だと思う。ファンは是非この本を読んで欲しい・・・どんだけ、この球団「組織」に覆いかぶさる闇が深いか?が分かると思う。

いろいろと感想はある・・・特に、やはり98年優勝メンバー、とりわけ生え抜き連中に対しての処遇やその後の経緯など、「今後10年は上位争いが出来る」と多くのファンが信じたあの強いベイスターズがどうして空中分解をしたのか?その詳細がよく分かる。そしてその根本原因は(作者の解釈もあるが)、連綿と伝わってきた「大洋ホエールズ丸」という独特の雰囲気等々にもあった、と。
#この辺は、正直あまり知らない部分だったが。

ただ、そんな中でも自分の心に響いたのは・・・239ページ、「リーダーなきチームへ」にある駒田の一節だ。
自分は元々Gファンでもあったし、実際の所、90年前後以前の「ホエールズ」はそこまで詳しくない。
#そりゃしゃーないわな。鹿児島の片田舎の小学生が知るには難しいチームだ、大洋は。
#(あの当時の田舎ってのはね、90%の巨人ファンと10%の阪神ファンしかいないんですわw)
だから、一昨年の末に高田、中畑体制が生まれた時にも他の古くからのファンが感じた「なんで仇のGのOBが」と言った感覚は幸運(?)にもそこまで違和感として覚えることは無かった。
だけど、そんな自分でもこの駒田がFAで横浜入りした時のゴタゴタは覚えているし、肯定的には捕えられない。この本にもあるけど、確かにあの時のベテラン斬りが後の98年メンバーの育成に役立った、という向きはあるかもしれないけど、結果、ああいう組織であるという事が後々の谷繁や琢朗、佐伯etcと言った悲劇を生みだした。このチームが弱体化した根本原因に繋がっている。
・・・と話が逸れたが、そんなわけで個人的には駒田に対してはイマイチ正直に好きになれない所があった。別に嫌いじゃないけど(優勝まで引っ張ってくれてむしろ感謝すらしてるけど)、そういう血脈を断ってでも入ってきた(別に駒田自身がやったことではないが)異分子的な存在、という感覚が少なからずあったんだろう。
しかし、前述の辺りの一節・・・ここを読んで、正直涙が滲んでいた。これほどまでに「ベイスターズ」を想ってくれている立派なOBだったとは、と。まぁ長いので実際に読んで欲しいけど、多分、多くのファンは駒田と言う人間を勘違いしていると思う。全く以って・・・生え抜きも何も関係ないんだな、と思い知らされた。

とにかくいろんな感情が沸きあがった一冊だった。
愛して止まないベイスターズ、そしてそれに関わる人間の多くの意思、それが噛み合わない噛み合わない噛み合わない・・・何も、選手たちだって首脳だってフロントだって負ける為の弱いチームを作ろう、なんて思ってるわけじゃないんだろう。けれど、どうしてこれほどまでに「組織」として上手く回らないのか?と。
自分は、内川や村田が「ベイスターズを変える」と言った割には何も出来ずに逃げ出しやがった、と少なからず思っている(その思い自体は変わらんけど。彼らにも罪はある)ファンですが、選手個人がどう頑張っても出来ないことがある。このチームの「闇」はそんなに簡単に取り払えるものじゃないのがよく分かった。

そして、、、元々思ってはいたが、より確信した。DeNA-中畑体制の今のチームが、そうした闇を取り払う可能性が一番ある組み合わせだ、と。「意識改革」・・・まずはこれから始めないと話にならない。技術論や根性論だけではどうにもならない、采配を振るおうにも実現できる選手が居ないのだから。

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この記事について

このページは、汎通が2013年10月14日 03:59に書いた記事です。

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