2011年上半期タイトル数推移(携帯機編)+まとめ

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では後半戦、携帯機編です。まぁそれ含め、まとめみたいな業界定点観測なども。

※データ元はWikipediaの各ハードソフトラインナップです。
※廉価版とかDL専売のようなタイトルは入ってませんのであしからず。

①トータル(ハード発売以降の総タイトル数)

携帯機トータルタイトル数。今回から3DSが参戦です。
DSvs.PSPという構図で見ると、2011年上半期トータルベースではPSPが6ヶ月全勝している(③)のですが、据置機のようなドラスティックな展開は見えていません。元々最大で826本というタイトル数差があった(09年12月)ことと、PSPのタイトル数自体も昨年をピークに今年は下落に転じている、というのが原因でしょうか。
#結果、グラフ上ではほとんど平行線に見えます。6月現在で757本差。
流石にここから逆転はあり得ないでしょう。ちなみに、(残念ながらSFC以前の据置タイトル数の集計が無いので歴代では言えないのですが、、、)DSの「1747タイトル」という数字は、PS、PS2に次いで4番目のタイトル数になります。また、PSPの990タイトルは、SSに次いで6番目のタイトル数になります。

さて3DS。いろいろと状勢的に悪い材料が多く苦戦を強いられているというイメージがありますが、、、
#実際、売上的にはDSの後継としては成功しているとは言い難い。
タイトル数を見ると6月までの5ヶ月間で40タイトルです。これをもうひと月延ばして、7月までの半年、という括りで見ると、、、

②3DS発売半年の軌跡と過去ハードの発売1年のタイトル数

SS以降(1994年)発売主要ハードの、発売1年目のタイトル数グラフになります。
#とりあえず据置、携帯関わらず。ピンクの太線が3DSです。
まぁ見れば一目瞭然・・・実は3DSはタイトル数ベースでは決して悪くないのです。むしろ半年間に限定すれば、現状で上から4番目。GBA、PS2、Wiiに次ぐタイトル数の多さ、ということになります。
#実は、DS、PSPよりも多い。
1年が経過した時点で考えると、上からGBA、PS2、PS、SS、DS、Wii、PSP、XB、DC、360、PS3、GC、64となる・・・所謂"成功したハード"は、やはりタイトル数でも充実していたことがわかりますね。今を謳歌しているPSP、PS3はこのグラフ上では中段、そして下段になってますが、これらは成長タイプが異なる例なのであまりアテにはならないかもしれませんが。

3DSはこの計測上では決して悪い状況には見えません。むしろ前世代のDSよりも多い。ではなぜパッとしないのか?それはやっぱり"内容"でしょうか・・・
#移植が多く、"3D"を活かしていてもそれが購買力に繋がっていない。
DSは発売から5ヶ月目に『nintendogs』、次いで『脳トレ』といった、そのハードを代表するオリジナルタイトルが出てきました。
#そしてそれがブームになりました。
言うほど簡単じゃありませんが・・・それに類するヒットを飛ばさない限り、どうしてもDSより劣る、という印象をもたれてしまうのかもしれません。

しっかし・・・64の少なさはハンパじゃないですねぇ。SFCの大成功による認識の甘さ、ズレなど等・・・任天堂が成功の後に失敗するのは伝統芸なのかもしれません。

③各ハードの月別販売タイトル数

※水色はその月最多本数

まぁという事で・・・ここまでで書ける事をほぼ書いてしまった気もしますが。。。
#1~6月の各月のタイトル数です。
見ての通り、PSPの圧勝。相撲で言えば全勝優勝ですね。
けど、前年上期からするとマイナス30タイトルと2/3強に留まっています。下げ幅がDSよりも小さいっていうだけで、PSPもやはり減少傾向には変わりない、というわけですね。このハードのピークは2010年になりそうですね。
3DSは半年ベースで見れば②の通り歴代で見ても悪くない数字です。DSの減り幅57タイトルに比べ、+40では少々足りないかもしれませんが、まぁまだ今後でしょうかね。

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携帯機編まとめ。
ということで・・・新ハードの3DSを含めた携帯機は全体的に減少傾向が強い、という感じでしょうか。この冬のPSVの登場も含め、ちょうど転換期に当たるわけで入れ替えが起きている途中、ということになりますね。
DSの減り方はかつての勝ち組ハードの中でもはなり極端になっているので、3DSがその分をすくい切れるか?PSPは減少はしているものの、今現在だと全ハードの中で一番調子が良い、これをどのようにPSVに繋げるのか?携帯ゲーム機としてはこの1年くらいは見物かもしれません。

総評として・・・
据置編の方でも書きましたが・・・3DSの現状は、タイトル数に関しては問題ないのに何故か上手く行っていない、という印象が先行しているように思えます。その原因は、やはり任天堂ハードをこので買うユーザ層が待ち望んでいるものが、現行の発売タイトルにマッチしていない、ということが大きいのでしょう。

この、「ユーザ層の見極め」というポイント・・・実に4~5年前からずっとサード各社のテーマになっている課題だと思っています。現行世代・・・DS/PSP、360/PS3/Wiiという世代はかつてのそれまでの傾向とは違って、「1人勝ち」とはならない世代に成りました。どのハードがどういうユーザの支持を受けているのか?そしてその根拠として「ハードに合ったゲームの内容、スペック」というのがイチイチ比較検討される、というのが重要になってきています。
#それが先日の『DQ10』の騒動にも繋がっていると思うのですが。
まぁゲームは開発が長いものだと4~5年なんてのもありますからね・・・かつてのように、勝ちハードにつぎ込んでおけばそれでよい、とならない分、今回みたいなことも起こりうる、ということなのでしょう。

1つ・・・タイトル数の趨勢とはあまり関係ありませんが、最近目立ってきたソーシャル(所謂"もしもし")との関係性についても、ちょっと自分の考えを書いておきたいと思います。
ゲーム各社による展開やその業績の優秀さが昨今取り沙汰されているSNSですが、自分は以前から「短期的には成功するだろうけど、長期的には伸びなくなる」と観測しています。というのも、ベースにある「無料」や「低価格」という路線だと、それを続けていくには限界があるから。
#当たり前ですが。
ただ、今は単純に未開拓ユーザがいるから伸びているだけ、ということになりますね。
で・・・そういう業界であるからこそ、既存のゲーム業界が今現在の小遣い稼ぎにそっちに乗っかる、というのは当然ありだと思うわけです。
#できればリソースを割いて欲しくは無いが。
もう1つ・・・よく言われる「シェアの食い合い」についてですが・・・個人的には、SNSをゲーム業界の1つ、としてみるのは少々無理があるのではないかなぁ?と思ってます。よく既存のゲーム業界が食われる、見たいな表現をしている人が居ますが、現実的には既存のゲームユーザがSNSにそっくりそのまま乗り換えているか?というとそういうわけでもありません。何時だったかの調査結果で、SNSのユーザの多くが"普段ゲームもしそうに無い人たちばかり"だったのは記憶に新しい所。そして媒体が携帯電話、スマートホンとなっていることからも、どちらかと言うと「移動中、外出時の時間つぶし」として使っているユーザが多そうにも見えます。
ゲームといえばゲームなんですが、まぁ携帯機ゲーム、特に任天堂が得意としているユーザ層を取り込むことはあっても、他のハードのユーザ層を刈り取っているか?というと疑問ですね。これも先日の調査結果にありましたが、SNSの伸びが既存ゲーム業界のマイナスと必ずしもイコールになっていないのは事実です。

結局のところ、娯楽の1つ・・・表示性能、入力インタフェースなど制限がある以上、どうしてもゲーム機に"ゲームをする事"で及ぶことはありませんし、使用形態にもある程度の線引きが存在しているように見えます。特に据置については論外でしょうし、携帯機についても活用次第なんじゃないかなぁ?という感じです。例えば任天堂は完全に敵対しているようですが、おそらくソニーは今度のTGSで取り込みを発表するのではないでしょうか?PSVはそれを実行するだけの能力を備えてますしね。
長期的に見ると、ゲーム業界なんてのは00年代前半付近をピークにほとんどずっと右肩下がりになってるわけです。これは、かつて新しい娯楽として他の娯楽から消費者を奪ったゲーム業界自身も、やはり新たに生まれた娯楽(今回で言うSNS)に客を奪われている、というだけの話で、それはゲーム業界に限ったことではない・・・という風に考えています。安直に、ゲーム業界全体がソーシャルレベルに落ち込んでいく、とは考えなくても良いでしょう。
尤も・・・ゲーム業界がそちらに全力を尽くすようになると、おそらく世界的に見て日本のゲーム業界はどんどんレベルが落ちていく、という悪夢に陥るでしょうけど。必要なのは、バランスだと思います。ソーシャルで稼いで技術力も向上させる・・・そういうビジネスモデルで数年粘れば、まだ期待はできるかと。

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このページは、汎通が2011年9月11日 18:39に書いた記事です。

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